もはや「気候危機」、気候非常事態宣言を国会で決議へ

朝日

世界的に気象災害が相次ぐ中、地球温暖化対策に国を挙げて取り組む決意を示すため、国会で「気候非常事態宣言」が決議される見通しとなった。自民、公明、共産など超党派の議員連盟が28日に総会を開き、決議文案を決めた。臨時国会で、衆参両院全会一致での採択をめざす。

文案では、地球温暖化の問題は「気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている」と強調。脱炭素社会の実現に向けて「国を挙げて実践していく」とした。パリ協定にもとづく温室効果ガスの排出削減目標についても「各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足」との認識を示した。

菅義偉首相は26日の所信表明演説で、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにすることを表明した。議連共同代表幹事の鴨下一郎衆院議員(自民)は「政府だけでなく、国会もそういう意思を示し、国民の皆さんに訴えてまいりたい」と述べた。

決議文案には「50年実質ゼロ」など、温暖化防止に向けた具体的な目標や対策は書き込まれていないが、今後、政策を検討していく考えもあるという。小池晃参院議員(共産)は「党派を超えて気候変動ではなく気候危機であるという認識を共有することに決定的な意味がある。具体化の段階では互いに知恵を出し合いたい」と述べた。

地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェローで京都大学名誉教授の松下和夫さんは、決議に向けた動きについて「政府に50年実質ゼロの実行や次のアクションを求める後押しにつながる」と評価。今後はさらに「50年実質ゼロの法制化や達成に向けたロードマップの提示、30年目標の強化など、議会としてもっと具体的な目標を掲げていくべきでは」と指摘する。(水戸部六美)

 

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