志位委員長定例会見―ワクチンの接種について

日本共産党の志位和夫委員長は国会内で18日、定例会見を開き、新型コロナワクチン接種に関する党の見解を述べました。(要旨)ワクチンの接種開始にあたり、現時点で求められている課題についてわが党の立場を表明したいと思います。4点ほど提起をしたいと思います。

第1点はワクチンの安全性と有効性、副反応など迅速徹底的な情報公開を行うということです。国民の中には新型コロナ収束の有力な手段としてワクチンへの大きな期待がある一方、不安の声も寄せられています。その一方でワクチンの安全性、有効性、そして副反応などのリスクについての国内外のデータを迅速かつ徹底的に国民に明らかにしていくことを強く求めたい。その際、今回のワクチンは特例承認です。特例承認を決めた薬事食料衛生審議会をはじめ、ワクチンの選定承認に関わるすべての会議の議事録、資料、これを公開することをすみやかに行う。これが不可欠であるということを述べておきたいと思います。

第2点はこのワクチン接種と感染対策の基本的な取り組み、ワクチン接種とそれに対する基本的な取り組み、同時並行で行うことが必要だということです。ワクチンは感染収束への有力な手段ですが、未知の問題を多く抱えています。たとえば厚生労働省もワクチンによる発症予防効果―これは臨床実験で確認されたが、感染予防効果、これは明らかになっていないとしています。それからワクチンを打った場合その効果が長期にわたって続くかどうかも全くわかっていません。ですからワクチン接種が始まったとしても社会全体でその効果が確認されるまでにはかなりの時間がかかる。これが専門家の一致した指摘であります。ですから今大事なこととして、ワクチンだのみになってしまって感染対策の基本的な取り組みがおろそかになってしまったら大変な失敗をすることになるということを言いたいと思います。この点で、現在新規感染者数が減少するのにともなって、検査の数も減少してしまっている。大きな問題だと思います。新規感染者が減少して、検査のキャパシティーに余裕が出てきた今こそ、検査の抜本的な拡充で感染を抑え込む、これが重要だということを強調したいと思います。ですから、わが党は一貫して、求めてきたように無症状者を含めて検査の抜本的な拡充をはかること。医療機関への減収補てんを行うこと、そして十分な補償を行うことなど、感染症対策の基本的な取り組み、これをワクチン接種と同時並行でしっかりやるーこれが大事だということを2点目に強調したいと思います。

3点目は自治体の医療体制への抜本的な強化であります。ワクチン接種の実務を担うのは自治体であります。自治体は感染対策の基本的な取り組みとワクチン接種という2つの大仕事を同時にやらなくてはいけないという大変な仕事が今待ち受けているのであります。ところがそれを支えるのに必要な体制があるとは言えない。特に医療体制の確保は最大の課題だと思います。産経新聞が先日発表しておりましたけれども、都道府県庁のある全国47の市区で行った調査では、その9割の自治体が接種と担う医師看護師を確保するメドが立っていない。都道府県庁のある47の市区で9割が医師看護師のメドが立っていない。このように回答しているのは大変現状としては重大であると思います。ですから、この2つの大事業、これを担う医療体制の確保のためにも地域の医療機関全体を対象とした減収補てん、今こそ必要だと思います。それから医療従事者に対して思い切った待遇改善の措置をとって、約全国で70万人いると言われている潜在看護師の方々がこの機会に医療現場に戻って来ていただくーそういう手当もとっていく必要があるかと思います。

それからワクチンがいつどれだけの量が届くかーこれが自治体が最も知りたい情報でありますが、この点でなかなか情報が伝わっていないという問題が大きな問題です。     自治体への迅速で正確な情報伝達、それから自治体に対するこの問題での財政支援の大幅な拡充が必要だということを述べておきたいと思います。

最後に第4点でありますが、世界的なワクチン格差を解消するため積極的な役割を果たすということであります。貧困問題に取り組むオックスファムという団体がありますが、世界人口の13%にすぎない先進国がワクチンの51%を独占しているとして、このままでは感染が起こっている67の国地域で9割の国民が今年中に接種を受けられない恐れがあるーこういう結果が出されております。パンデミックを終わらせるのは世界のすべての地域でウイルスの脅威を無くすことが絶対不可欠です。空白地域が残されていたら、パンデミックは終わりにならない。ですからそういう点でも今、各国の財力でのワクチン争奪戦ではなくてワクチンが平等に供給される国際的な仕組みの確立が必要です。この点でですね、新型コロナのワクチン普及に取り組む国際的な枠組みで「ACTアクセラレイター」というのがありますが、この試算では2021年末までに5000億円超が必要だとされています。5000億円なんですね。そんなに巨額な費用ではないんです。今日本の軍事費は年間5・4兆円です。世界の核兵器保有国が核兵器のために支出している予算は年間7・6兆円です。これらの一部をまわしただけでも途上国へのワクチン供給は可能ですから、この面でも日本政府が積極的な役割を求めていきたいと思います。

以上ワクチン接種というひとつの光明が見えてきたわけですが、しかしこれはこれからも長いたたかいが続くと予想されるもとでの4つの点での基本的な見解を明らかにいたしました。こういう立場でのぞんでいきたいと思います。

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