3・11、10年前のあの時・原発全基廃炉採択・共産党県議団を代表して討論

10年前の東日本大震災・原発事故を受け、福島原発全基廃炉の請願が採択された議会での私の本会議場での討論です。共産党の提案に賛成・しかも原発推進の自民党が賛成というのは今までなかったことです。それほどの福島原発事故だったのです。

26番(宮川えみ子君)

宮川えみ子です。日本共産党を代表して討論を行います。

最後に、請願245号「福島県内すべての原発の廃炉を求めることについて」は採択すべき立場から意見を述べます。  この請願は、6月議会に新日本婦人の会が提出者、私が紹介議員になり、継続審査になっていたものです。内容は、原発事故による避難者がふえ続け、特に子育て中の母親は、子供たちの将来、放射能が子供たちにどう影響するのかを心配しています。そして、福島県の復興ビジョンが基本理念に「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を掲げたこと、この脱原発については福島県民のほとんどの意思であると述べています。  同じく提出された原発10基の廃炉を求める決議の中では、被害は福島県民のみならず全国に広がり、ホットスポットでの健康被害の不安、牧草やお茶、そして海洋汚染がどのくらい広がるか予想さえつかないと言い、全国民にこれほどの苦難を与えたのに福島県はなおも原発推進なのかと問いかけています。  9月28日までに事故収束、廃炉の意見書を上げた県内の市町村議会は34自治体に上っています。また、福島県復興共同センターの全県民アンケート調査では、84%の方が全面廃炉に賛成です。  原発事故は、私たちの暮らしの全てを一変させました。原発立地地域では、津波に遭っても生き残ったであろう方を見殺しにしなければなりませんでした。ふるさとに帰れない多くの県民を生み出しました。土にこだわって農業をなりわいにしていた人も、おいしいアンコウなど魚をとって暮らしていた人も、田舎に遊びに来た人にキノコを売って生活の糧にしていた人もみんなできなくなりました。知事が得意としていた二地域居住も観光ふくしまも消えていきました。子供の放射能被害を心配する多くの県民が福島県から避難していきました。今後10年単位の時間がかかる復興計画を担う若い人が福島県から避難をし、ふえ続けているのです。

福島県は、今後いつ果てるともない除染が始まります。あらゆる実害と風評被害を乗り越えなければならない事態に陥っているのです。原発事故は、他の事故には見られない異質の危険があります。一度事故が発生し、放射性物質が外部に放出されれば、もはやそれを抑える手立てはなく、被害は空間的にどこまでも広がり、時間的にも将来にわたって危害を及ぼし、地域社会の存在さえ危うくします。こうした危険性を持つ原発を世界有数の地震国、津波国に集中立地する危険性です。地震による外部要因による重大事故は、内部要因より十数倍の確率で起こるという研究もあり、今度の地震より更に巨大な地震が起きないという保証はありません。原発については、日本は特別の危険を持っているのです。

4年前、日本海で起きた中越沖地震による原発事故で柏崎刈羽原発の変電施設が火を噴いたとき、私たち共産党県議団は視察をし、福島原発の地震・津波対策を強く求めました。

しかし、東電は勿論、国も何の対策もしませんでした。知事もそのことを容認しました。知事は、県民の原発に対する懸念をよそに前知事の原発政策を変更し、この4年間を見るだけでも、古くなった原発をできるだけ長く使うということを目的にした維持基準の導入、再処理が行き詰まっているにもかかわらずプルサーマルの導入を認めました。

議会は、昨年6月の定例県議会に提出されたプルサーマルを進めない請願に対して、私たち共産党と他の3人の議員を除いて不採択としました。そして、増設に手をつけようとした、そのやさきに今度の原発大震災が引き起こされたのです。  今議会を通じて思うことは、知事は原発10基の全面廃炉について「再稼働はあり得ない。」などと述べるだけであって、はっきり全面廃炉を言わない。収束すれば再稼働になるのかどうか曖昧なのです。このように、原発推進を総括できない弱さが如実にあらわれ、今の福島県の現状の克服を困難にしていると思います。そして、それは福島県としての発信力の弱さとなってあらわれています。東電が今度の原発事故を人災と認めず、賠償などで国の陰に隠れていること、国策で東電と国が降らせた放射能の除染対策についてもその責任を逃れようとしている中で、県民世論の大反撃の中でやっと動かすという事態となっているのです。

今度の事故は、「原発技術は優秀だ。管理が悪かっただけだ。」などの巻き返しも起きています。また、全国紙と地方紙を比べてみるとわかるように、全国の世論は福島県を忘れかけています。そして、そのことについてのおそれとも言える声が議会でも出されてきました。このような状況を見ても、県議会としては、プルサーマルのときのように知事にげたを預けるのではなく、はっきり10基全面廃炉の意思を示すべきときなのではないでしょうか。  県民を塗炭の苦しみに追い込んだ原発の全面廃炉を明確にしてこそ、福島県の全てのスタートになります。再生可能エネルギーの爆発的推進も若い人が戻ってくるメッセージも全面廃炉から始まります。だからこそ復興ビジョンに明記されたのです。  この請願を審議した昨日の企画環境常任委員会は、可否同数になり、委員長の判断で不採択にしました。しかし、私は県民の総意であるこの請願を何としても採択して国の内外に示すべきであると強く願っています。「福島県内すべての原発の廃炉を求めることについて」のこの請願245号は、以上の理由から当然採択すべきです。  以上で討論を終わります。(拍手)