日米軍事同盟の侵略的大変質に断固反対する
――日米共同声明について
2023年1月14日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
一、今回の日米共同声明の最も重大な踏み込みは、「日本の反撃能力及びその他の能力の開発及び効果的な運用について協力の強化」と明記したことにある。これは、米軍の指揮統制のもと、自衛隊が敵基地攻撃能力を使って相手国に攻め込むことを、公然と宣言したものである。
これまで日米安保条約のもとでは、自衛隊が「盾」の役割を担い、米軍が「矛」の役割を担うことが建前とされてきた。今回の日米共同声明は、こうした従来の建前を一変させ、日米が一体に「矛」となって戦うというものである。それは日米軍事同盟の侵略的大変質を、世界に宣言するものにほかならない。
一、日米首脳会談で、岸田首相は、敵基地攻撃能力保有と大軍拡を明記した「安全保障3文書」を策定したことを報告し、バイデン米大統領は「日本の果敢なリーダーシップを賞賛」した。
選挙で国民に信を問うことも、国会や国民に説明することもなく、一片の「閣議決定」で戦後の安全保障政策の大転換を決定し、まっさきに米国に報告し、忠誠を誓う。この姿勢は、およそ独立国の政府とはいえない、卑屈きわまる米国追従の極みといわなければならない。
日本共産党は、日米軍事同盟の侵略的大変質に断固反対する。「専守防衛」をかなぐりすてる「戦争国家づくり」を進める「閣議決定」の撤回を、強く求める。
一、日米共同声明は、中国と北朝鮮について、「増大する挑戦」と位置づけ、日米同盟の抑止力・対処力の強化で対応するとのべている。日米豪印(クアッド)による対中国の包囲網づくりがのべられている。こうした軍事ブロック的対応は、地域の分断と緊張を高め、軍事対軍事の悪循環を激化させ、戦争へのリスクを増大させる。
今求められているのは、日本共産党が「外交ビジョン」で提唱してきたように、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力し、地域のすべての国ぐにを包摂する平和の枠組みを強化し、東アジアに平和を創出していく憲法9条を生かした外交戦略を進めることにある。
この方向こそが、唯一の現実的かつ理性的な方向であることは、今回の日米共同声明でも、「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)への支持を言及せざるをえないことに示されている。排他的でなく包摂的な平和の枠組みをつくることこそ、戦争の心配のない東アジアをつくる道である。